ASOとASAの相乗効果がアプリダウンロード数にもたらすメリット

Rina Yoshida by 
Marketing Manager at AppTweak

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アプリの開発者やマーケターの皆さまは、常にアプリのダウンロード数を増やし、App Storeでの可視性を高めるための新たな取り組みを模索しているのではないでしょうか。これらの目標を達成するための強力なツールの1つがApple Search Ads (ASA) です。ASAキャンペーンを作成し、走らせることで、ストアでアプリを探しているユーザーをターゲットに、自社のアプリを検索結果のトップに表示し、効果的に宣伝することができます。

一般的には別々に考えられがちなASAとASO (アプリストア最適化) 対策ですが、実際にはこれら2つを併用することで相乗効果が生まれます。そのため、一貫したアプリユーザー獲得戦略を構築するには、これらを共に活用することが不可欠です。

今回の記事では、ASAとASOがどのように関連しているかを紹介し、これら2つの戦略を組み合わせてアプリの可視性を向上させ、ダウンロード数を増加させる方法について解説していきます。

ASAを基礎から学びたい方は、「初心者でもわかる!Apple Search Ads入門ガイド」(動画) も合わせてご覧ください!


ASOとApple Search Adsのシナジー効果について

Apple Seach Adsは、ASO戦略を向上させるための素晴らしいツールであり、その逆もまた同様です。強力なASO戦略は、ASAキャンペーンのCPI (Cost Per Install = インストールあたりの費用) を低減するのに役立ち、一方で強力なASAキャンペーンは、アプリストア内でのオーガニックな露出やコンバージョン、キーワードランキングの向上に寄与します。

ASAのパフォーマンスから得た知見をASOに適用することで、あらゆるマーケティングチャネルにおける効果を最大化し、全体のパフォーマンスを底上げすることができます。

Apple Search AdsとASOのシナジー効果によって期待されるメリットは、主に以下の3つです。

  • カスタムプロダクトページ (CPP) の改善
  • アプリストア内での露出 (インプレッション) の向上
  • キーワードの最適化戦略の改善

カスタムプロダクトページ (CPP) と Apple Search Ads

カスタムプロダクトページは、デフォルトのアプリページに加えて最大35パターンまで、固有のURLを持ったアプリページが作成できるツールで、特定のターゲットユーザーに向けて訴求する際に非常に有用です。ASAキャンペーンを作成し、広告をクリックしたユーザーをデフォルトのページではなく、そのキャンペーンの対象層向けに作成したCPPに誘導することで、一貫性のあるエクスペリエンスを提供でき、コンバージョンを高める効果があります。

ASAの効果を最大化するための具体的なカスタムプロダクトページ活用方法についてはこちらのブログ記事も合わせてご覧ください!

ニュースアプリ「スマートニュース」は、CPPを活用してストアで検索したユーザーの興味・関心に合ったコンテンツを表示させています。
ニュースアプリ「スマートニュース」は、CPPを活用してストアで検索したユーザーの興味・関心に合ったコンテンツを表示させています。

上の「スマートニュース」を例に、CPPの具体的な活用方法を探ってみましょう。

ニュースアプリ「スマートニュース」は、通常のアプリストアのプロダクトページでは、ニュース全般や地域情報、趣味情報などが読めることがスクリーンショットで紹介されています。

しかし、スマートニュースは「英語」というキーワードを検索するユーザーに対しても、CPPを活用して対策しています。アプリ名に「ニュース」というワードが入っているのもあり、スマートニュースが特別に英語学習に特化したコンテンツに力を入れているアプリであるという印象を持っていない方もいるでしょう。

それにもかかわらず、英語学習に役立つコラムや海外のニュースが英語で読めること、海外メディア専門のチャンネル、国際チャンネルや世界情勢に関する情報を提供していることを示唆するカスタムプロダクトページを作成しています。これにより、「英語」にまつわるアプリを探しているユーザー層をもターゲティングしていることがわかります。

このように、特定のターゲットユーザーに焦点を当て、CPPを活用することでアプリページの訴求力を高めているのです。通常のニュースアプリを検索するだけでなく、特定のニーズを持つユーザーにも効果的にアプローチできる戦略的な活用例です。

ASAとキーワードのオーガニック検索ランキング

ASAキャンペーンを行うことで、通常はオーガニック検索結果でなかなか上位に表示されないキーワードにおいて、自社のアプリがトップにランクインする可能性が高まります。実際、ASAキャンペーンを通じて特定の検索キーワードでのアプリのダウンロードが増えると、そのキーワードのオーガニックランキングにも良い影響を与えます。ASAを実施することで、ターゲットキーワードに対するインプレッション数やダウンロード数が自然と増え、CPPを使ってコンバージョン率を上げることで、そのキーワードのオーガニック検索でのランキングが向上します。

AppTweakで旅行予約アプリBooking.comのキーワードデータを調査したところ、「last minute hotel(直前ホテル)」「resort(リゾート)」「vacation rentals(バケーションレンタル)」などの関連性の高いキーワードでトップ10入りしていないことが分かりました。Booking.comはおそらくこれらのキーワードをアプリのメタデータに既に含めているかもしれませんが、これらのキーワードをASAキャンペーンに組み込むことで露出を増やし、より良いランキングを獲得できるでしょう。

Booking.comは、App Storeでのランキングを向上させるために、ASAキャンペーンに上記のような関連性の高いキーワードを取り入れることを検討できるでしょう。(データ引用元: AppTweak)
Booking.comは、App Storeでのランキングを向上させるために、ASAキャンペーンに上記のような関連性の高いキーワードを取り入れることを検討できるでしょう。(データ引用元: AppTweak)

つまり、Apple Search Adsを活用することで、Booking.comはこれらのキーワードに対するダウンロード数を増やすチャンスがあります。これによりアプリの露出度やランキングが向上し、さらに多くのオーガニックダウンロードが期待できます。

Apple Search Adsキャンペーンで特定のキーワードに焦点を当てて対策することで、競合アプリを検索結果で下位に押しやり、その露出を減少させることができます。

Apple Search Adsでのキーワード戦略と発見

Apple Search Adsは、アプリに重要なキーワードを見つけるのに役立ち、またASO戦略の向上にも貢献します。ディスカバリーキャンペーンでこれらのキーワードを見つけ、完全一致 (exact match) キャンペーンから高パフォーマンスなものを抽出しましょう。そして、これらをアプリのメタデータ (アプリ名、サブタイトル、キーワードフィールド) にうまく組み込むことで、アプリの可視性やキーワードのランキングに良い影響を与えることができます。

既にコンバージョンを促進しているキーワードを追加することで、アプリのメタデータを強化できます。これにより、アプリのオーガニックでのコンバージョン率が一層向上します。これはまさにwin-winな状況で、これらの重要なキーワードをアプリのメタデータに」含めることで、Apple Search Adsだけでなく全体的な可視性も高まります。

ASAを通じて、新しいキーワードを見つけるだけでなく、ASOを活用してASAキャンペーンでのキーワードの選択肢や入札を導くことができます。キーワードの検索ボリュームを調査することで、季節のトレンドや新しいApple Search Adsキャンペーンを展開するための可能性が見えてきます。例えば、アメリカではタックスリターン (=確定申告) の時期に連動して「tax (=税金) 」に関連するキーワードが10月から2月にかけて著しい伸びを見せています。

上のAppTweakのグラフは、アメリカにおけるキーワード「free tax usa」のAppleの実際の検索人気履歴を示しています (2020年10月10日から2023年4月10日) まで。
上のAppTweakのグラフは、アメリカにおけるキーワード「free tax usa」のAppleの実際の検索人気履歴を示しています (2020年10月10日から2023年4月10日) まで。

「free tax usa」というキーワードのオーガニック検索ボリュームの季節ごとの変化を見てみましょう。これにより、そのキーワードに対する入札が競争が激しい時期を知ることができます。その後、アプリと予算に基づいて、ピーク時に入札するか、予算を賢く割り当てるかを決定しましょう。

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Apple Search Adsにおけるカニバリゼーション

ASOとASAを組み合わせて活用する際には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのリスクも存在します。その中で最も大きなリスクの一つがカニバリゼーションです。これは、もともとオーガニックに獲得できたはずのトラフィックやインストールに対して広告費用が発生してしまう現象を指します。要するに、カニバリゼーションは既にオーガニック検索結果で上位にランクインしているキーワードに対して入札(または入札しない)することによって引き起こされる問題です。

Apple Search Adsを通じて獲得したインストールにおけるカニバリゼーションは測定が容易ではありません。なぜなら、有料インプレッションを得た競合アプリがそのままアプリのダウンロードにつながったかどうかを計測する必要があるからです。カニバリゼーションを評価するには、自社ブランドと競合アプリとのコンバージョン率の差を測定することが重要であり、開発者はこの評価においてさまざまな要因を考慮する必要があります。


最後に

ASAとASOの統合においては、技術的な側面だけでなく、運用面でASOチームとUAチームの連携も必要です。これらのチームは相互の影響を理解し、ASOとASAのシナジーを活かした統一されたアプリストア戦略を作り上げるために協力する必要があります。

チームがASOに投資することで、アプリのキーワード、業界のトレンド、競合他社の強みや弱みに関する貴重な情報を得ることができます。これらの情報は、きちんとした構造のApple Search Adsキャンペーンを計画する際にカギとなります。さらに、ASAやUAマネージャーはASOマネージャーの知識や過去のメタデータの更新から学び、どのキーワードが自分たちのターゲット層にとって最も訴求力が高いかを理解することができます。この連携により、キーワード戦略を効率的に進め、時間を節約し、より包括的で統一されたASOおよびASA戦略が実現します。

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Rina Yoshida
by , Marketing Manager at AppTweak
Rinaは、AppTweak Japanのマーケティング担当として、日本市場におけるASOの認知度向上に取り組んでいます。趣味は、グルメ探索、ランニング、愛犬と遊ぶこと。