ASOでは単数形と複数形のキーワードで順位は変わりますか?

Florentin Zachary by 
Product Manager at AppTweak

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一般的には、キーワードの複数形と単数形の両方を狙う必要はないと考えられています。アプリは両方でインデックスされ、両バージョンで同様に順位が付くはずだからです。では、実際にはどの程度同じように順位付けされ、どちらの形を使うべきかはどのように判断すればよいのでしょうか。

検証のため、合計600個のキーワードについて上位20件の検索結果を分析しました。iOSとAndroidのアプリについて、米国・フランス・スペインの3つの国で単数形と複数形の用語におけるアプリの順位を比較しました。


複数形と単数形のキーワードで、順位はどのように比較できるか?

App Storeで“hotel”と“hotels”を検索すると、同一キーワードの単数形(左)と複数形(右)で、アプリは非常に似た順位で並んでいることがわかります。

実際、上位10件のうち8つのアプリが両方のキーワードでトップ10に入っています。ただし、タイトルに単数形を含む“hotel”で上位に入っていた2つのゲームは、“hotels”ではトップ10に入りません。逆に、タイトルに複数形を含む“hotels”で#10のTripadvisorは、“hotel”という単数形のキーワードではトップ10に入りません。

また、Hopperは、単数形の“hotel”(#12)よりも複数形の“hotels”(#5)のほうが高順位です。タイトルでは単数形を狙っており、複数形ではないにもかかわらず、この結果は興味深いものです。

App Store(米国)における“hotel”および“hotels”のライブ検索結果App Store(米国)における“hotel”(左)と“hotels”(右)のライブ検索結果。

単数形と複数形でトップ10検索結果が大きく異なる例も確認しています。たとえば、“casino”でトップ10に入るアプリは、“casinos”で上位に入るものとまったく異なります。実際、両方の用語でトップ10に入るのは10本中わずか2本のゲームだけでした。

App Store(米国)における“casino”および“casinos”のライブ検索結果App Store(米国)における“casino”(左)と“casinos”(右)のライブ検索結果。

これらの順位の挙動をよりよく理解するために、もう少し深掘りしてみましょう。キーワードのボリュームは影響するのでしょうか。タイトルやサブタイトル/ショート説明での完全一致との相関はあるのでしょうか。多くのキーワードを対象にすると見えてくる傾向はあるのでしょうか。これらの問いに答えるため、より多くのキーワードを対象に調査を行いました。100個の単数形キーワードとその複数形の同義語のトップ検索結果を、App StoreとGoogle Playの両方について、米国・フランス・スペインの3カ国で比較しました。

1. トップ10の半数は単数形・複数形の両方でランクイン

調査の結果、単数形キーワードでトップ10に入るアプリの半数は、その複数形でもトップ10に入ることが、平均的な傾向として示されました。以下の棒グラフは、米国・フランス・スペインの両アプリストアのデータを考慮しています。

結果はキーワードごとに大きく異なります。上位結果がほとんど同じ(8〜10本が共通)場合もあれば、まったく異なる(共通が0〜2本)場合もあります。

下図では、Y軸が単数形・複数形のキーワードのペア、X軸がそれらのペアで共通するアプリ数を示します。

単数形と複数形のキーワード検索における共通アプリの分布100を超えるキーワードのうち、単数形と複数形の双方の検索でトップ10に入ったアプリは6本という結果でした。

詳細なセグメンテーションでは、国ごとの差は有意ではない一方、App StoreとGoogle Playの間には大きめの差があることがわかりました。

平均すると、Google Playでは10本中5.6本のアプリが単数形・複数形の両検索でトップ10に入るのに対し、iOSでは10本中4.4本にとどまります。つまり、単数形と複数形の検索結果のばらつきは、AndroidよりもiOSで大きいということです。Googleのアルゴリズムは平均するとより似た結果を返す傾向があります。とはいえ、Google Playでもトップ10における単数形・複数形の検索結果の共通数は決して多いとは言えません。

ストア アメリカ合衆国 フランス スペイン ストア別平均
iOS 4.72 4.37 4.1 4.4
Android 5.3 5.79 5.69 5.59

単数形と複数形の両キーワードでトップ10に入っているアプリ数。

2. ボリュームが高いほどトップ10の検索結果は似通う

ボリュームの大きいキーワードでは、単数形・複数形の双方の検索でトップ10に入るアプリ数が概して多くなります。

また、人気の高いアプリストアのキーワードほど、アプリはメタデータにそのキーワードを正確に(単数形または複数形のいずれかで)完全一致で含める傾向があります。

さらに、単数形と複数形のキーワード間のボリューム差によって検索結果の差が大きくなったり小さくなったりする、と考えたくなるかもしれません。しかし、実際にはそうではないようです。

たとえばフランス(Android)では、“maison”(家、ボリューム60)と“maisons”(ボリューム7)でトップ10の共通アプリは6本ですが、単数形と複数形のボリュームが近い他のキーワードでも共通アプリは同じく6本でした。

3. App Storeの上位20アプリの中で、メタデータでの完全一致は少数

ここでいう完全一致とは、単数形キーワードでトップ20に入るアプリのうち、実際にその単数形キーワードをメタデータ(タイトルまたはサブタイトル)に含めているものが少数である、という意味です。複数形キーワードでも同様で、複数形でトップ20に入るアプリの中で、その語をタイトルやサブタイトルに完全一致で入れているものはわずかです。

したがって、タイトルやサブタイトルに特定の形(単数形または複数形)のキーワードを加えても、その語の順位が必ずしも上がるわけではありません

  • iOSで“background”を検索すると、1位は“Live Wallpapers for Me”(サブタイトル:“Cool Moving 4K Backgrounds”)です。このアプリはメタデータで“background”という単数形を狙っていないため「完全一致」ではありませんが、サブタイトルで“backgrounds”を狙っているため単純一致ではあります。
  • 次に、“background”の2位は“Wallpapers True 4K & Full HD”(サブタイトル:“Only suitable wallpapers”)です。このアプリはタイトルやサブタイトルに“background”も“backgrounds”も含みませんが、キーワードのコンバージョンが高く、かつキーワード欄に“background”が含まれているため、単数形のキーワードで#2にランクインしている可能性があります。

Google Playでは、概ね対象集合のトップ20に入るアプリの約半数が、メタデータ(タイトルまたはショート説明)に完全一致を含んでいました。Androidは使用可能な文字数が多いため、iOSよりも完全一致を狙うケースがやや多いものの、メタデータに特定の一致がなくても高順位に入るアプリは少なくありません。

メタデータで単数形か複数形のどちらを狙うべきかの判断

単数形と複数形で順位が異なり得ることが分かった今、メタデータにどちらの形を含めるかはどのように判断すべきでしょうか。

  • 両方のバージョンのキーワードを別物として検討・調査しつつ、ローカリゼーションの観点ユーザーの意図を念頭に置くのが最善です。

ワンポイントアドバイス

AppTweakのようなASOツールを使えば、ライブ検索ビュー検索ボリュームを簡単に分析し、どのバージョンのキーワードが競合の少ない領域で、高順位を狙いやすいかを見極められます。

競合の上位ランクインキーワードのトラッキング方法を詳しく見る

  • キーワードや言語によっては、順位が大きく異なる場合に、単数形と複数形の両方を狙うのが望ましいこともあります。
  • また、常に結果を監視し、必要に応じて改善を重ねてください。

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Florentin Zachary
by , Product Manager at AppTweak
Florentin is an ASO Expert at AppTweak. He’s passionate about how new technologies can improve our lives. He also likes cheese, philosophy and climbing!