2024年に注目すべきASO (アプリストア最適化) トレンド

Simon Thillayby 
Head of ASO at AppTweak

1 分の読了時間

皆様、あけましておめでとうございます!

新年の始まりとともに、その年のASO (アプリストア最適化) トレンド予測を発表することが、弊社にとって毎年の恒例行事になりつつありますが、今年は少し路線変更して「予測」ではなく、確実に期待できる重要なASOトレンド3つをご紹介いたします。

本記事でご紹介するトレンドをもとに、どのようにASO戦略を変えていく必要があるのか、そしてどのように自社のマーケティング施策に取り入れられるかなど、ぜひ検討してみてください!


注目されるのはASO業務におけるAIの活用

人工知能(AI)は、2023年に急速に注目の的となり、新しいAIの開発が続く中、2024年も引き続きその傾向が見られるでしょう。

特に、ChatGPTやMidjourneyなどのソフトウェアによる大規模言語モデルや、テキストから画像への変換技術の普及がASOの業務に革新をもたらしています。例えば、キーワード調査からアプリアイコンのデザイン、コピーライティング、そしてレビューの管理・対応まで、AIの活用の幅は拡大しています。

AI領域の競争が激しくなる中、AIのASOへの活用は2024年も引き続き注目されると言えます。今後は、さらに多くの事例研究が期待され、失敗例なども出てくるでしょう。

これらの事例はAIツールを日々のASO業務に取り入れる際の参考となるので、定期的に活用方法について知識を高め、効率的にASOに取り組めるよう体制を整えることがおすすめです。

AIに関するASOのトピックはますます増えることが期待されますが、近い将来に注目すべきポイントは以下の通りです:

AIモデルの学習方法と開発への影響について

パーソナライゼーションにおける課題は、デジタルマーケティング界において重要なテーマです。AIを利用する際、何よりも検討すべきなのはその正確性であり、これは主にAIの学習に使用されたデータの量や品質に影響を受けます。

例えば、ChatGPTなどの汎用ツールは正確性に欠けることがあり、逆に特定の分野に特化したツールは、小さなデータセットからくる定型的な結果を生むことがあります。だからこそ、使うツールの選択は慎重に行わなければなりません。

また、正確性を確保するにあたっては、ASOツールなども重要な役割を果たすとされます。ChatGPTなどの汎用ツールを効率的に使う上でカギとなるのが「プロンプト」の作成ですが、ASOツールの活用が正確かつ本当に使えるプロンプト作成の手助けとなり得ます。

しかし、もっと注目すべきなのは、AppTweakのようなASOツールも独自のAIモデルを開発しているということです。AppTweakが2022年リリースした「Atlas AI」は、単なる言語モデルではありません。数百万ものアプリやキーワード、またそれらのランキングの仕組みについて、約10年以上にわたり独占的にトレーニングされた、洗練されたモデルです。

これらのツールを利用することで、データ分析に費やす時間を減らし、AIから得たインサイトをキーワードやクリエイティブの最適化にどのように活かすか、その戦略を立てる方向に重点を置くことができるようになります。

例えば、AppTweakのAI技術には、アプリのレビューで頻繁に書き込まれているトピックを特定する機能があります。この機能を活用することで、ユーザーの要望や不満、アプリの強みや競合との違いなどがデータから明らかになり、これによりアプリの改善点やマーケティング戦略の方向性を見つけ出すことができます。

レポーティング業務にもAIを活かすことはできるのか?

簡単に言うと、答えは「Yes」です!グラフや表を作成したり、分析したりするにあたってのAIツールやそれらの活用法は既にたくさん出回っているかと思います。とはいえ、驚くべきことに、ASOにおけるAI活方法について初期段階に公開されたケーススタディの多くでは、レポーティング業務での活用についてほぼ触れられていません。

今後、ASOにおける汎用AIツールの利用方法についての検証が進む中で、特に効果測定などのレポーティングにおいて、AIの具体的な活用方法が明らかにされることが期待されています。

ワンポイントアドバイス

AIツールを探す際には、データを迅速に分析し、レポーティングの効率と正確性を向上させるのに最も効果的なインサイトを素早く見つけることができるツールを検討してみてください。

AIの活用がどのようにASOの価値を向上させるのか?

ChatGPTを含む革新的な生成AIの登場は、リリース当初から大きな注目を集めていましたが、ASO業務での利用価値は主に「業務の効率向上」に関するメリットに限定されています。日々の業務を時短できることはもちろん魅力的ですが、AIの活用がますます進む中で、将来的にはその余った時間を活かしてAIでどのようなことを実現できるかに焦点が移ると予想されます。

ストアページのクロール頻度、アプリのリリースサイクル、マーケティングの季節性などの要因により、ASOのアウトプットは有料広告に比べて制限されることが多い傾向にあります。アウトプットのストレスが軽減されると、AIツールで節約した時間を他のタスクに再投資すべきか、AIがまだ人間ほど効率的でない分野に向けるべきかという疑問が生じます。

2024年には、AI活用により、コスト削減だけでなく、ASO業務において追加の価値を生み出す実例が現れることが期待されています。このAIのインパクトが、ASOと有料UA (ユーザー獲得) の間のサイロを破壊するのか、ASOにおけるマーケティング・リサーチに再び焦点を当てるのか、ASOの状況に新たなトレンドを導入するのか、あるいはこれらの動きが混在するのか、今後注目です。

サードパーティのアプリストア

AIは今後ますます重要なトレンドになるとされていますが、2024年、ASOの分野では注目がサードパーティアプリストアに移る見通しです。欧州連合が2023年に制定したデジタル市場法では、Appleに対して2024年3月までにiOSおよびiPadOSでApp Store以外からのアプリダウンロードを認めるように要求しています。これにより、iOSにおいてサードパーティアプリストアが導入される可能性や、その運営者についての憶測が広がっています。

この議論は、iOSにおけるアプリの提供コストや収益の分配に複雑な影響を与える一方で、どのように開発者やユーザーを既存の使い慣れたストアから新しいアプリストアへと切り替えさせるのかといった課題も注目すべき重要なポイントです。

そのため、新しいアプリストアとそのメリットについて考えるときには、既存のアプリストアにもたらされる変更と、それらがユーザーの獲得とエクスペリエンス向上にどう寄与するかという点を見落としてはいけません。

2023年、GoogleとAppleはアプリパブリッシャー向けのマーケティング機能を向上させるための新たな取り組みを進めました。これには、App Storeでの地域ごとの事前登録の導入やGoogle Playでの価格実験などが含まれていました。2024年にも、同様のトレンドが続くでしょう。今後、これらのストア関連の機能がマーケターにとってどれほど価値のあるものとなるか、そしてそれが広告発見の場としてだけでなく、アプリのダウンロードプラットフォームとしてもどれだけ価値を高めることができるかが注目されます。

  • Androidにおいては、2024年にGoogleがプロモーション用コンテンツのリリースをついに行うと予想されています (現在はベータ版であり、全てのアプリで利用可能ではありません) 。これにより、GoogleがPlay Storeで特集されるアプリを決定する方法が変更されるとされています。
  • さらに、Googleは新しい編集機能「Playレポート」を実験的に導入し、コンテンツクリエイターがPlayストアで直接、ビデオシリーズを通じてさまざまなアプリをおすすめ・紹介できるようにするとされています。
  • AppleはまだApp Storeの新機能について公表していませんが、カスタムプロダクトページ (CPP) 向けに追加の機能が期待されています。さらに、Appleが開発中の検索エンジンに関する噂もあり、検索結果の大規模な改革が予想されています。

Apple Search Adsの効果を最大化するためのカスタムプロダクトページ活用方法についてはこちら

2024年において、ASO担当者は、アプリストアの進化に合わせて、ユーザーエクスペリエンスの向上に最優先で取り組むべきです。このような変化に対応するには、広い視野を持ち、どの施策に重点を置くか、そしてどの情報を無視するかを慎重に決定することが非常に重要です。

ASOに影響を与える可能性のある有料UAトレンド

最後に、ASO以外の動向や変化がASOに与える影響を把握することも、2024年、どのようにアプリストア最適化を実践すべきかを検討する上で不可欠なものとなるでしょう。

Appleが独自の検索エンジンを開発しているとの噂は、App Storeへの潜在的な影響やApple Search Ads (ASA) の変更について疑問を呼び起こしています。ASO担当者はこの広告ネットワークを積極的に活用しているため、何らかの変更があれば影響を受ける可能性があります。同様に、GoogleもGoogle Adsを介してPlay Storeでの手動キーワード入札をテストしているようです。もし成功すれば、これが2024年に主流となり、ASO担当者はこの透明性のない広告ネットワークを巧みに活用する必要が出てくるでしょう。

さらに、Google Privacy Sandboxの予定されているリリースとAppleのSKAdNetwork (SKAN) フレームワークへの潜在的な変更は、有料ユーザー獲得の取り組みやプロセスに影響を与える可能性があります。これにより、成長チャネル、または包括的なマーケティングアプローチの補完としてASOへの関心が高まるかもしれません。ASO担当者は、単独で仕事をすることを避け、自分たちの仕事が企業の大規模なマーケティング活動にどのような付加価値を与えることができるかを考えるべきです。

2024年を見据えると、ASOは2023年のトレンドが業界の進化を形作る中で注目すべきポイントに直面しています。大きな変化があるかどうかにかかわらず、ASOは各アプリや企業の独自の状況に適応可能であることが重要です。ASOへの投資は今後も有益であり、アプリや企業が成功するための鍵となります。

それでは、皆様にとって2024年が素敵な一年になりますように 🎉

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Simon Thillay
by , Head of ASO at AppTweak
Simon is Head of ASO at AppTweak, helping apps boost their visibility and downloads. He's passionate about new technologies, growth organizations, and inline speed skating.